我が社、ピープルフォーカス・コンサルティング(以下PFC)は2023年2月6日にBコープ認証を取得しました。Bコープ認証については昨今、メディアなどで頻繁に取り上げられるようになり、ご存じの方も多いかと思いますが、BはBenefit for All(全ての人への便益)の頭文字、コープはCorporation(企業)のことであり、社会や環境に配慮した公益性の高い企業に与えられる国際的な認証です。株主のみならず、従業員、顧客、取引先、地域社会、地球環境といったすべてのステークホルダーに対するBenefit(便益)を重視した経営を実践していることが求められます。
Bコープ認証の基準はとても厳格で、そう簡単に取れるものではありません。2023年1月時点では、世界で5925社が認定されていて、日本企業の中ではPFCは20番目の認証企業となりました。
なぜBコープ認証を目指したか
PFCは創業したときからBコープ的な会社になることを志向していました。創業者である自分は、今から30年前イギリスにいた頃にボディショップという会社を知り、ビジネスと社会貢献は対立するのではなく、両輪として共存しうることに衝撃を受けました。そこで、そうしたビジネスモデルを自分なりに少し研究し、『勇気の経営』(日本能率協会出版)という本を1992年に執筆しました。
1994年にPFCを創業してからは、毎年の売上の1%を社会貢献に充てる方針を立てたり、CSV(Creating Shared Value 社会価値と経済価値を両立させる事業)リーダー育成事業を行ったりと、PFCなりの社会貢献の方法を模索してきました。
近年は、国連のSDGs、ESG投資、サステナビリティ経営、ステークホルダー資本主義などといった考え方が広くビジネス界に浸透してきました。大半の企業が、社会貢献を標榜するようになった一方、「言っているだけ」「やったふり」ではないか等SDGsバッシングといった批判の目も向けられるようにもなりました。
翻って、PFCはどうか。やっているつもりでも、世界的な基準と比較して十分と言えるのか、他社と比べても誇れる水準になるのか。そのように考え、自社を客観的に検証し、足りない部分があれば改善するために、Bコープ認証を目指すこととしたのです。
2年越しの旅
Bコープ認証を目指すことを社内に提案したのが、2021年1月。翌月には、社内にタスクフォースが組成されました。タスクフォースに参加する志願者を募ったところ、約4割の社員が手を挙げてくれました。約2か月間のフェーズ1では、Bコープ認証の仕組みや各基準についての理解を深めたのち、PFCが改善したり新たに取り組んだりする必要がある項目について洗い出しを行いました。
その結果、約30の改善項目や新たに取り組むべき項目が特定され、実行に向けたフェーズ2では、社員全員が活動に参加することに。フェーズ2の活動の様子については以前の記事を参照いただきければと思いますが、自分として何よりも嬉しいのは、このBコープ認証は全員の努力により勝ち取ったものである形にできたことです。
こうして、半年間の改善実行活動を経て、予定通り、2021年内の申請を果たすことができました。
申請してから審査が始まるまでの待ち時間が長いことは、Bコープの審査サイトにも書いてありましたが、その間も、新たな慣行や制度運営をどんどん実施・継続してきました。こうして待つこと10か月、ようやく昨年の9月に審査開始の通知がありました。
いざ審査が始まると、追加情報、補足情報を次々と要求されました。1次スクリーンといえるEvaluationステージを通過すると、Verificationステージに進み、審査で回答したことの裏付けとなる資料を提出することが求められます。かなりの労力を伴う作業です。それらの情報や資料を基に、先方のアナリストが、各項目が本当に基準を満たしているかを判断していきます。この審査はシビアで、自己アセスメントでは、認証に必要な80点に達しているつもりでも、この審査の段階で減点されていって、80点未満、すなわち不合格という結果になる企業は少なくないそうです。PFCの場合、自己アセスメントでは85点でしたが、審査の結果、最終的には83.7となり、あまり減点されずに済みました。
Bコープ企業としてのこれから
Bコープ認証に必要なことを整備していくことで、PFCは企業として進化できたことが大きな成果ですが、進化はここで止まってはいけません。3年後には認証を維持するための再審査が待ち受けています。審査基準は年々厳しくなっていると聞いているので、PFCも常にバージョンアップを図っていかなくてはなりません。
それにしても、今回、認証を得たことで、クライアントに対してビジネスを通じて社会課題を解決する組織作りや人材育成のご支援をすることに、今まで以上の自信と確信を持つことができます。私たちPFCは、Bコープの理念である、Make Business a Force For Good (ビジネスを、世の中を善くする力に変える)に邁進していく所存です。